建診協(建物診断設計事業協同組合)は、平成8年に国土交通省の認可をえて設立した、設計事務所と調査診断会社で構成している事業協同組合です。設立の趣旨は、建築物やそれに付随する施設等を長持ちさせることによって、私たちの暮らしをより豊かにしたいというものです。21世紀は、ご承知のとおり大量生産・大量消費を美徳とする「使い捨て社会」でした。しかし、MOTTAINAIが国際的な言葉として普及したように、21世紀は資源を大切にする「持続可能な社会」を構築していく時代です。建設ストックもその社会を担っていく重要な要素ですから、MOTTAINAIを理念に終わらせることなく実施していくのが、私たちの使命だと認識しております。
さて、その具体的活動の中心が既存マンションでした。特に、設立当初から強く普及活動を行ってきたのが、大規模修繕工事における設計監理方式です。当時、大規模修繕工事をめぐるトラブルが多く発生しており、健全なあり方を普及、実施していくことが求められていました。その一つの答えが、施工会社と診断・設計・監理を分離する設計監理方式でした。以来、区分所有者や居住者の立場からの視点と客観的な診断に基づく改修設計や長期修繕計画の作成に多くの実績を積み重ねてきおり、健全なマンションストックの育成に微力ながら貢献してきたと自負しております。
ところで、建診協に参加している各事業者は、マンション改修以外にそれぞれに得意分野を持っています。マンション、一般住宅、公共建築物、商業施設、ホテル、幼稚園・保育園・学校、オフィースビル等々の新築設計はもちろん、耐震診断・補強、公共建築物の長期修繕計画、まちづくり、神社仏閣古民家再生、プラントメンテナンスなどにも建診協のメンバーは実績をもち、新たな分野へも挑戦しております。それは、マンション改修の現場での経験、知識、知恵をフィードバックする現場でもあり、教科書では得られない総合的技術の次の世代への伝承の場でもあると思っています。私たち建診協のメンバーが、どのような形で皆様のお役にたてるのか、どのようにすれば日本に健全な建設ストックを蓄積できるのかを日々研鑽し、地道に、一歩一歩前進していきたいと思っておりますので、今度もご指導、ご鞭撻、ご協力をお願い申し上げます。
建物診断設計事業協同組合